誰かのためのおとぎ話
ミニコント集その二十六




【平たく言うと】
啓:喜んで買ったヒーローのフィギュアを、部屋の隅から埃まみれで見つけたときのかなしさと言ったら。
風:飽きたんでしょ。
啓:そうなるな。

【そうかなー】
博:今思うと、夏子は貧乳だったら完璧だったな。
夏:は?
博:暴力・ツンデレときたら貧乳だろう。金髪ツインテールだったら完璧だ。
夏:馬鹿にしてるの?
博:いや、世を憂いている。

【心配された】
啓:空腹のあまりパン屋のサンプルを食べてしまった。
風:怒られたでしょ。
啓:紙粘土で出来てたから……。

【空腹につき崩壊】
啓:美味しくなかった。
風:そういう問題じゃないのは判っている?
啓:腹は膨れた。
風:ご飯、食べに行こう?
啓:うん。

【変な才能】
啓:カラオケに行ったので自棄で全力で歌った。
夏:どうだったの?
啓:うけた。
夏:下手すぎるのも才能なのかもね。

【黒い】
風:全力出したらわたしはどうなるんだろう。
元:そんな危ないことはしちゃいけない。
風:……どういう意味?
夏:こらこら笑顔で言わない。

【知ってた】
博:二次元に嫁が出来た。
啓:え、今更なにを?

【変な誤解】
博:貴様、俺の初恋がアニメキャラと知ってのことか!
啓:学校の先生だったオレは健全。
風:……え。
啓:お、女の先生だぞ!? 女だぞ!!

【認識の違い】
風:チョコレートに合う食べ物ってなんだろう。
啓:非常食だからな……カンパンじゃね。
風:なる……え?

【いざ】
啓:風花さん、非常食をお菓子扱いするとはさすがお嬢様ですな。
風:ちょっと待って。
啓:いざって時のためにチョコのセールしてるときは買いだめしている。
風:いざって?
啓:お金が……なくなったとき……。

【兄がゆえ】
理:昨夜未明、兄貴の部屋から絶叫が聞こえました。
啓:ゲームかPCデータがぶっ飛んだんだろう……。
理:迷惑ですよね。
啓:血も涙もないな、お前。
理:だって兄貴ですし。

【なんだろう】
啓:もしそれが親父殿だったらどうする?
理:迷惑ですよね。
啓:お前やっぱり……酷いな。
理:夜中に絶叫とか、近所迷惑考えてほしいですよ。
啓:案外普通の理由なんだな。
理:それ以外に怒る理由ってなんですか?

【先手必勝】
夏:BGMって大事よね。
啓:理解出来ないので、そういう話題はやめてください。
夏:……そ、そう?

【理香は刃物を取り出した】
博:理香が本読んで泣いているところを見てしまった。
夏:可愛いね。
博:気づかれたときの殺気はなかなかだったぞ。

【進む世界】
啓:世界が進んでいた!
風:カレンダーを見間違えてたの?
啓:うん、日めくりを二枚めくってた。

【冷静な感想】
啓:オレ、辛いときにそっとつぶやくんだ。「友と、明日のために」って。
夏:危ない人ね。
啓:なん、だと……?

【あとですごい後悔した】
啓:たまの休日を台所掃除に使ってやった!
風:勉強もしたら良かったのに。
啓:無心を手に入れた!
夏:というかさ、それが男子高校生の休日なの?

【何故途中で止めなかった】
博:後悔しか残らない休日の過ごし方か。
理:兄貴と回り将棋をやっていたことですかね。
博:せめて勝負事にするべきだったな。
理:あれは無益でしたね。
博:楽しくなかったしな。

【毎年あります】
啓:年末になるとクリスマスの曲がスーパーで流れるじゃないか。
夏:その季節のものを売るために色々やるよね。
啓:でさ、毎年思うんだよ。
夏:なにを?
啓:クリスマスは去年やっただろ!? って。

【お正月は特に】
風:お正月と誕生日は毎年気持ちよく迎えるんでしょ?
啓:うん。
夏:現金ね。

【ひたすらに逃げ】
夏:この前買ったCDなんだけど――
啓:止めてくださいぃいいいい!!
夏:耳を塞いで逃げるってどういうことよ!?

【今まで気づかなかったようで】
夏:なにがいけないと思う?
風:興味がないことを延々と語られるのって、辛いよ。しかも口を挟む暇も与えないんだもん。
夏:……そんなに酷かったの?
風:うん。
夏:……へー……。

【後方で女子が間接を鳴らしております】
博:冷静に考えたんだ。
啓:なにを?
博:女の子のパンツが嫌いな男はいない!

【判っていても許せないことってあります】
啓:落ち着くんだ風花! 男としてそれは否定できないんだ!!
博:健康な思春期男子がエロに興味がないとか、逆に不健全だろう!?
風:そ、それはそうなんだけど……。
麻:……ちなみにパンツの中身にご興味は?
啓・博:あるに決まってるだろ!?
夏:なるほど……。

【痛々しかったんだと思う】
啓:試験が近くなってみんなしてオレにシフトを変われという。
風:断ったの?
啓:貧乏暇なしなので、休憩中に勉強してたら店長が変えてくれた。
風:良かったね。

【同僚が駆けずり回っていると思うと】
啓:でも落ち着いて勉強できなかったなー。
夏:戦場だもんね。
啓:戦場で勉強してる奴って顰蹙もんだよな。
風:休憩中だったんでしょ?
啓:それでもさ。

【いつものことだけど唖然とした】
啓:風花って日記つけたりするの?
風:小学校の宿題くらいでしかやらないよ。
啓:偉いなあ、オレは宿題でもやらないぞ。
風:…………。

【速攻終了】
麻:……私も日記は苦手。
啓:三日で飽きたとか?
麻:……三文字で。
啓:は……?
麻:……三文字で。

【簡単すぎた答え】
啓:余裕があったら買おうかなってものがあったんだ。
風:なかったんでしょ?
啓:うん……。

【溢れ出る生活臭】
啓:結構欲しくて、出費も抑えていたのにな……。
風:どうして買えなかったの?
啓:トイレットペーパー、安く売ってて、つい大量に買っちゃって。

【直訳すると黙れ】
啓:夢の中で魔法が使えたんだ!
風:良かったね。他人の夢の話ほどどうでもいいものはないよね。
啓:――!

【もっと普通ので行こうや】
啓:面白かったり楽しい夢を見たら誰かに話さないか?
夏:どれだけネタがないのよ。
啓:――!

【博の謎】
博:気がつけば、買っただけのゲームが塔のようになっていた。
啓:それは羨ましい。
夏:待って、それを買ったお金はどこから出たのよ?

【何故信じる】
啓:そういえば昔から博は金を持っている。
博:こまめに五百円玉貯金してるからな。
啓:なるほど、見習おう。
夏:嘘に決まってるでしょ。

【現実から逃げる!】
啓:何か、大切なことを忘れている気がする……。
元:数学の宿題だ。
啓:うう、頭が割れるように痛い!

【概念の話】
風:わたしが手伝おうか?
夏:計算機がお手伝いって、答えを教えることよね。
風:そんな言い方っ。
夏:試験でさ、途中計算書いたことある?
風:言われるまでそんなこと知らなかったよ……。

【家事じゃない理由】
啓:たまの日曜のお休みを、掃除洗濯で終わらせるなんてもったいない!
風:じゃあさ、遊びに行こうよ!
啓:オレには冷凍したご飯をチャーハンにするという使命がある!
風:…………。

【ああ、勘違い】
風:遊びに行っていい?
啓:元樹は連れてくるなよ? 全部食われる。
風:一人だよっ。
啓:それなら大歓迎!
風:――っ! わーい!
啓:そんなにオレのチャーハンが楽しみなのか!

【好きな数字は?】
啓:偶数と奇数、どっちが好き?
夏:数字に好きも嫌いもないでしょう?
啓:でも七が好きって人、多いじゃん。
夏:ならどうして、偶数奇数で聞くのよ……。

【怖いから】
啓:オレはお金がたまらないという呪いに掛かっている。
風:浪費癖を変な言葉にして誤魔化さないで。
啓:だから笑顔で言うのはやめてくれ!

【なんだこの会話】
啓:チョコレートって何で甘いんだろうな……。
風:糖分が入っているから。
啓:そうか……奥が深いな……。
夏:?????

【訳が判らないよ】
啓:爆音を上げる頭の悪い車やバイクのエンジン音がひらがなで聞こえるという奇病を患っているんだが。
博:それは中学で克服した。
啓:マジ? どうやったんだ?
博:漢字に変えた。
啓:その手があったか!
風:?

【目覚ましでも同じことが起きる】
啓:バイト先からの着信音をさ、専用のお気に入りの着メロにしたんだ。
夏:嫌よね、好きな曲が嫌いになるって。
啓:ホントに。

【あははははははは】
理:私は嫌いな人の着信音を静かな曲にしています。
風:取りたくないから?
理:そうそう。
啓:確か博のってすごい静かなのだったような……。
理:あはははははは。

【禁断症状】
啓:鳥のもも肉。
風:どうしたの?
啓:手羽先。
風:?
啓:薄切りの豚肉!
風:食べたいの?

【生まれ持った本分】
風:うちでね、啓輔を呼んでバーベキューしたの。
夏:相変わらずね……。
風:わたしね、泣きながら肉を焼く人を初めて見たの。
夏:客なんだから食べるだけにすればいいのに。




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